ゴミクズがスタートアップするブログ

日常に飲まれないためのサードプレイス

将軍とスタートアップ

※ 少々ネタバレあり

キングダムという漫画があります。

秦とか魏とかが入り乱れる戦国活劇です。

主人公・信と武将たちが繰り広げる人間ドラマや兵法の数々にはしびれるものがあるんですよね。

作中で王騎というむちゃくちゃ強い天下の大将軍が

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※ 画質悪いのしかなかった

「戯言とは心外ですねェ。"知略"対"本能"! これは武将の中の永遠の題目ですよォ」

という示唆深いセリフを吐いていたのが特に印象的です。

(詳しい内容が知りたい人はここで概要を把握すると良いです。) 秦の怪鳥・到着!!! そして暴☆言☆王・信最大の「あの暴言」が……。。(笑)


これ、スタートアップの経営にも通じませんかね。

リーンスタートアップ・グロースハック・UXD(ユーザーエクスペリエンスデザイン)などの「ユーザー中心設計」の理論に基づいてプロダクトの改善や組織作りをする経営者もいれば、自分のセンスを信じて直感でプロダクトを改善して行く経営者もいると思います。

僕はこれ、状況に応じてどちらを採用すべきか変わると思うんですよね。

プロダクトの成長ステージ・チームの状態・マーケットの状態に応じて、最適な改善プロセスがあると思うんです。

本能型の人はそれらの情報を肌感で分かるからものすごいスピードで改善しまくれるんでしょうね。作中では近距離型という比喩がありました。

知略型の人は仮説検証をしまくるので進みは遅く見えますが、理詰めでより良いプロダクトを目指すので大きなミスをすることは少なそうです。中〜遠距離型って言ってました。

どちらも欠点はありますよね。言語化できないから属人性が高いとか、実践するのは難しいので結局は形を崩して使うハメになるだとか、様々な議論はあるんですが、「とにかくユーザーが欲しいものを作って届ける」という基本を外さずに、要求に応じて柔軟に改善フレームワークを使い分けたいですね。


余談ですが、「要求に応じて柔軟にフレームワークを使い分ける」ってプログラミングにも当てはまるなあって思います。プログラミングにおいて厳密さと早さはトレードオフっぽいので、最適な粒度の技術を選べたら最速で十分な品質のプロダクトを開発できますよね。だから、フレームワークや言語を選択できる地力が重要だと言われる訳ですね。


またまた余談ですが、グロースハックって使えるプロダクトが限定されてますよね。準備にすごい工数かかるから既製品のMixpanelとか使いたくなるし、抽出したデータが真にプロダクトの改善点を表現できるかは指標を決定する人間とエンジニアの連携にかかっているし、おまけに変更に弱い。

場合によってはUXDが有効なケースも多そうです。


さらに余談ですが、見方によってはまたマーケットがない(ユーザーが本当に必要としているか言語化できてない)プロダクトでも作らない限り、Googleなんて倒せませんよね。言語化できることは大体真似されますから。

社会的文脈と技術的文脈の両方から予想できる人は強いと思います。当然人類が進歩するであろうという技術的予想を、現実のしがらみを諸々勘案してベストなポイントに網を張っておく感じ。

リーンスタートアップ的なパッチの小さい仮説検証プロセスをベースにしながらも、根本的には学者か宗教家のような狂ったビジョンをベースにした、検証がしにくいプロダクトを作らないと、せっかく上限青天井のギャンブルなのにもったいないでしょうから。

本能と知略を使い分け、理解できないビジョンを掲げるエンジニア集団には、怖くて投資できないかもしれませんね。