PoSトークンの資金ロックのフェアさの非局在化について
田中さんのエントリ(PoSを採用する暗号通貨に未来はあるのだろうか – 田中コイン研究所 – Medium )をきっかけに考えはじめた命題として
「本当にPoSはアンフェアなのか?」
という問いがあります。
それでいろいろ調べまわって
It's counterintuitive but PoS is fairer than PoW - Will a higher stake make more money in PoS?
とか
Casperは資産を一定期間ロックする事による 「機会費用の損失」をリスクと考えるが、これはより多くの資産を持つ者に有利であるという点でこの問題を本質的には解決していない - コンセンサスアルゴリズムの比較メモ
のような双方の立場をみかけました。
今回フォーカスしたい点は
資産ロックは大口にとって有利でリスクにならない
です。
初見で私は
「資産ロックはリスクテイクだろ」
と思ってしまったんですが、どうも奇妙なひっかかりを感じたんですね。
「大口ホルダーは、ノーリスクにもハイリスクにも、どちらにもなりうるんじゃないか・・・?」
と・・・。
それで postalk で一人で考察してみました。
まず田中さん等PoS否定派の意見は直感的に理解できます。
大口ホルダーがトークン新規発行を牛耳り、新規発行分の売り圧力がインフレのように大口以外に直撃しかねない構造は
まさにねずみ講と呼ぶにふさわしい仕組みではないでしょうか
と表現するのも一理あるかもしれません。
ですが
「PoSはアンフェアだよね」という共通認識が広まると、 PoSトークンから資金が逃げ価格が下がり、 Stakeholderからすると「資金ロックはリスクである」という状況になり、 リスク量は資金ロック量に応じて大きくなるので、相対的にフェアになる。
という状況が考えられます。
さて、逆に
「PoSはフェアだよね」という共通認識が広まると PoSトークンからに資金が戻り価格が上がり Stakeholderからすると「資金ロックはリスクではない」という状況になり、 ノーリスクでbet可能になるため、相対的に アンフェアになる。
という気づきを得ました。ややこしいですが、とても面白いですね。
そのとき私は気づいてしまいました。
「ベンゼン環だ・・・」
と。
ベンゼン環というのは電子配置が「非局在化(共鳴)」しています。
二重結合であり単結合でもあるような電子密度で安定してしまっている状態です。
固定的な構造だけを扱っていた古典力学では説明できないわけです。
やや話がそれたので要約して終わりとします
まず
- 「PoSはフェアである」 という主張をします。
- 共通認識が市場に広まります。
- 資金が流入します
- PoSトークン価格が増す方向に力が働きます。
- この状況下ではValidationのための資金ロックが大口にとってリスクではないです。
- よって、このときは PoSはアンフェアになります。
PoSホルダーのポジショントークがどのように作られているのかがよくわかります。
さて、次に逆の立場からは
- 「PoSはアンフェアである」 という主張をします。
- 共通認識が市場に広まります。
- 資金が流出します
- PoSトークン価格が減る方向に力が働きます。
- この状況下ではValidationのための資金ロックが大口にとってリスクです。
- よって、このときは PoSはフェアになります
したがって
PoSがフェアじゃないと主張している人は、PoSをフェアにしてしまう方向に力を働かせていて、PoSがフェアだと主張している人はPoSをフェアでなくしてしまう方向に力を働かせている。
という動的な力学がPoSにはあると言えるかもしれません。
さて、
この「PoSにおけるフェアさの非局在化(Delocalized fairness of PoS)」についてみなさんどう思われますか?ご意見お待ちしてます。
P.S. 議論の相手を常に募集しています
Disclaimer: Tezos(PoSトークン)を保有しています。 Tezos勢はローンチまでしばらく身動きとれないので、正座してIOU価格に一喜一憂するしかありません。
15 Oct 追記
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