ジャカルタ暗号通貨勉強会でシニョリッジとPoW/PoSの話をしました
ジャカルタ暗号通貨勉強会での登壇内容です。
FIAT通貨とPoW通貨とPoS通貨の新規発行分の分配が系にどのような影響を与えるかについての考察です。
国家にとってのシニョリッジの使い道については以下に詳しい
簡単に図説する
1万円札の発行コストは22円である。
簡単のために赤字国債や特別立法の関わる現実のフローは無視すると、以下の図のような単純な貸し出しの図になる。実際は国債を先に買ってもらっておき、それを買い戻すことで紙幣を受けわたす
翌年度の国債の購入によって紙幣が戻ってくる
これを何回転かさせると、「お金を生み出している」と錯覚できる状態が生まれる。
以下が実際の政策金利の各国比較である
以下が中央銀行を通した通貨発行益分配のメリットとデメリットである。
国債を通して政府から直接民間にばら撒けばいいんじゃないですかね?その方が消費性向が高くて乗数効果も高くなると思うので、わざわざ銀行通す意味ってないと思うんですよね。
— 花田賢人 (@hanaken_n) January 12, 2018
失業率や貿易をコントロールする方法として実績のある方法だが、ミッションクリティカルなシステムなので上記のような試行錯誤を行えない
次に、PoW通貨に相似形となる構造がないか考えてみる
マイナーはトークンを市場価値よりも安く仕入れられることを期待し、マイニングを計画する。
マイナーの70%を占める中国のマイナーは維持費を支払う必要があり、自国でトークンを売ることができないため、USDベースの取引所で販売し国内に持ち込む。つまり、市場を回すことに繋がっている。
余談だが、トップマイニングファームの月維持費900万円に対して、月の持ち込み額制限が550万円等になっており、苦しい状況が続いているらしい。
以下がメリットとデメリットになる
GDPは上がるが、政府が国を捨てる可能性がある
次にPoSとの相似点の検証をする
PoSにおいては供託額がバリデーターに選ばれる確率であり、再供託することで稼ぐインセンティブが高い。また、PoWほどファーム経営の維持費がなく、ローリスクなので構造が変わらない。
STEEM => ブログのインセンティブ設計を司るPoS(PoB)通貨。75%がwriterとvoter報酬で、25%がvalidator報酬。毎年10%程度のインフレ起こし原資とする。インフレ率は毎年逓減する
Tezos => PoS通貨の一種でデプロイ後でも改善可能なDynamic Ledger
中央銀行を経由した通貨発行益配布と比較して以下が興味深い
例えば
図にする
開発者が集まりやすい暗号通貨をデザインできる上に市場を回せるのではなかろうか。もちろん(暗号通貨としての)セキュリティの検証は必要だが
こういう妄想もできる。PoSは極限状況に強い。
そしてマイナーが開発者をこきつかう構造になりにくい。
もっともっと議論しましょう。
ありがとうございました。